共通√の雑感は以下。
共通√では、主に喫茶ステラの経営についてに焦点が当てられていましたが、ヒロインの深堀りが個別√の内容となります。
どのヒロインでも、本作独自の設定である、青い蝶(零れ落ちた魂の残骸・生への執着を失った魂)が軸となっています。
攻略順は
火打谷 愛衣 ⇒ 墨染 希 ⇒ 四季 ナツメ ⇒ 明月 栞那
火打谷 愛衣。
喫茶ステラのアルバイト募集の張り紙を見てやってきた女の子。
元々は、水泳部に所属していた彼女でしたが、友人とのすれ違いにより自主退部。
所在なさ気にしていたところ、張り紙を見て、喫茶ステラでアルバイトを始めます。
基本的には明るく人懐っこい性格。
人間関係において、特に問題はなさそうな彼女ですが、彼女の持つ特殊な瞳が原因で問題が起きてしまいます。
それが虫喰の瞳。
青い蝶を捕らえることができるという特殊な瞳であり、彼女は幼い頃から人とは違う世界で生きてきたのです。
ある日、水泳部で仲が良かった子が、スランプに陥り悩んでいたところを、愛衣は瞳を利用して彼女の魂をケアしてあげていました。
しかし、これが問題の引き金となってしまいます。
あくまで一過性のものでしかないこの力は、根本的な原因までもを解決させるものではありません。
タイムのスピードは伸び悩み、何度も友人がスランプで悩んでは、愛衣がケアするという繰り返しになっていました。
徐々に友人は、愛衣のその力に依存してしまいます。
愛衣もまた、それではいけないとわかっているので、徐々に力を使用することを渋りだしますが、友人からしたら突然梯子を降ろされたようなものです。
その結果、友人と愛衣は仲違い。
こうして愛衣は退部し、ステラでバイトすることになったのでした。
愛衣√では、愛衣と結ばれた後、友人との関係性に踏み込むというお話。
結局は、愛衣の力が暴走し、今まで捕らえてきた蝶が外に出てきてしまうのですが、主人公の活躍により最悪の事態を回避。
友人ともう一度信頼関係を築いた愛衣は、今度こそ友人がスランプを抜け出すため、瞳の力は使わず一緒に頑張ろうとするエンドでした。
墨染 希。
主人公の幼馴染。親は神社の神主で、年末は巫女の真似事をさせれている。
幼い頃から主人公とずっと一緒でしたが、特に主人公は恋愛感情を持つこともなく家族のようにずっと接してきました。
喫茶ステラの仲間たちの粋な計らいにより、クリスマスにデートしたことで、希を女性として意識しだした主人公は、年末の巫女イベントを通して付き合いだすのでした。
個人的に好きだったポイントは、徐々に埋まらない二人の距離感を、主人公がどこか冷めた視点で見ていたところ。
主人公自体が拗れているという設定だけあり、全てを諦めたような、悟った独白の箇所は共感めいたものがありました。
希√では、転生できず彷徨う蝶を祓うお話となっています。
希の神社には、年末限定で出没する赤い蝶が存在していました。
毎年、年末に舞の奉納を行っていたため、特に被害はありませんでしたが、今年に限っては神主が骨折してしまっため、中止を予定していました。
これでは、希一家が祟られると思った主人公は、今年も舞の奉納をしてもらうように取り計らいます。ですが、毎年依頼していた朝武家(千恋*万花のメインヒロインの家系)にキャンセルの連絡を既にしてしまっていたのでした。
そこで白羽の矢が立ったのが希。
急遽、特訓をすることになり、無事舞の奉納に成功します。
しかし、これでも事態は収束しません。
なお赤い蝶が存在し続け、次々と主人公達に不運な出来事が続きます。
原因が赤い蝶だと踏んだ主人公たちは、なんとか赤い蝶を成仏させようと対策を講じます。
ここで判明したのが、赤い蝶は神社に祭られていたのは、娘を鬼に殺されたある母親であり、その母親の娘の転生した人間こそが希であるということ。
赤い蝶を救うためにも、最後は希が舞の奉納をしてあげることで、ようやく赤い蝶は成仏することができたのでした。
拗らせ女子系、四季 ナツメ。
大学でも少し浮いており、主人公と同様にぼっち属性。
彼女は幼い頃、身体が弱く、大事なイベントごとでは欠席してばかりでした。
友人と楽しいイベントも共有できず、両親の喫茶店経営という夢も、自分の身体が理由で壊してしまった、という負い目から他者に対して心を閉ざしていました。
そんな中、現れたのがケット・シーであるミカド。
彼曰く、ナツメもまた生への執着が弱く、魂が弱ってきていると指摘します。
そして、ある日交通事故に巻き込まれてしまい命を失ってしまいます。
…のはずでしたが、この事故こそ物語の冒頭で巻き込まれた主人公の交通事故でもありました。
その後は、主人公の魂の力により事故はなかったことになるわけですね。
しかし、ナツメはそれこそが自分と主人公の差であると思うのです。
主人子と比べ、生きることに対して後ろ向きなナツメは、魂が零れ落ちすぐにでも自分が消えるのではないかと考えるのでした。
主人公と距離が近づく中で、どのように他人に心を開くべきか分からなかったナツメ。
更に自分自身が、その内に消えると生きることを諦めているため、主人公を想っているにも関わらず、主人公を拒んでしまいます。
ですが、めげない主人公。何度もアタックすることでようやくナツメと心を通わせることに成功します。
最後は小学生の頃の友人たちを喫茶ステラに呼びパーティを開きます。幼い頃のナツメの夢を主人公が叶えてあげたわけです。
ナツメの両親もその様子を陰から見ており、ようやくナツメは両親とも向き合うことができ、ハッピーエンド。
恋愛シミュレーションゲームとしては理想な形だなーと思ったナツメ√。
少女のパーソナルな根幹の問題を解消し、新しい夢を築かせていく、という流れは綺麗だったと思います。
ナツメ本人のキャラクター性、ビジュアルも兼ね合って、4ヒロインの中でも群を抜いているイメージです。
死神少女である明月 栞那。
栞那√では、死神の設定、そして主人公の父親との和解を軸に話が進みます。
栞那に対して、恋をしていることを自覚した主人公は、栞那に告白しようと遊園地に誘いますが、そこで栞那は自分がいずれ死神として役割を終え、消えることを言います。
出鼻をくじかれてしまった主人公でしたが、それでも栞那に告白し、想いを通わせるまでに至ります。
しかし、正月を超え栞那は死神として役割を終え、消えてしまいます。
そこで明かされたのが、実は栞那にとって主人公は因縁のある魂だったという事実。
栞那が死神として初めて出会った魂が、主人公の前々々世(?くらい)。
その魂もは両親の愛をまともにもらえず、孤独に死んでいってしまったのです。
栞那はその魂に、次こそは幸せになれると言いますが、転生先でも両親の愛を与えられず孤独死してしまいます。
それを何度か繰り返した後、今の主人公へと繋がります。
そのため、主人公の魂は何世も前から満足な死を迎えられていなかったため、生への渇望が他人と比べて強かったのでした。
それゆえに栞那は主人公に対して、特に思い入れも強かったのです。
栞那が消滅後、主人公は栞那に会うために奇跡を起こし、過去に意識を繋げます。
そして、もう一度栞那に話すことに成功します。しかし、このままでは過去を書き換えたことになってしまい、今度こそ主人公が消えてしまう恐れがあります。
そのため、栞那と最後のお別れをして、現実へと戻ってくるのでした。
しかし、ここから愛のパワー発動。
どうやら、栞那は主人公の力のおかげで受肉に成功し人間として現れたのです。
これにて、二人は末永く結ばれることになったのでした。
栞那√の後半は主人公と親父との和解。
主人公の親父は、海外で絵描きとして活動していることから、主人公との関わりが薄かったのです。
主人公の母親の葬式でも、海外にいたこともあり2・3日経ってから日本に帰ってきました。そのことに主人公は、父親は本当に母親を愛していたのか、不信感を持っていたのでした。
不器用な親子は、栞那√で初めて和解をします。
互いの想い、親子の契りを感じた主人公は満足気に父親の後ろ姿を見送ります。
これまでの魂の無念が救われた瞬間でもあったのでしょう。
エピローグからは主人公の人生がダイジェスト気味に流れていきます。
就職、大学卒業、結婚、そして子供の誕生と、淡々と物語の締めくくりに入っていきます。
そして、最後には成長した娘と栞那のCGで終わり、と。
相変わらずゆず作品は、終わりを迎えるにつれて、空虚にも似た心の穴を感じさせます。
これにて本作『喫茶ステラと死神の蝶』は終了。(サブヒロインはカットします)
流石、安定と信頼のゆずソフト。毎回、ブヒブヒ言いながら楽しませてもらっています。
果たして私は、あと何回ゆずソフトのカウントダウンを聞けるのか。
今後も続いていってほしいブランドですね。